木星の衛星エウロパは暗闇で光る!?

これは木星の衛星エウロパの太陽光が当たっていない夜側を描いたイラストです。ぼんやりと光っている様子が描かれています。エウロパは木星からの高エネルギー放射線を浴びています。その放射線がエウロパの氷を暗闇の中で光らせている可能性があります。

氷に放射線を浴びせると発光することは以前から知られていました。放射線が当たると氷の中の分子が励起状態(エネルギーの高い状態)になります。元のエネルギーの状態に戻る際に、余分なエネルギーが光として放出されて光るのです。

NASA(アメリカ航空宇宙局)・JPL(ジェット推進研究所)の研究チームは、氷に含まれる塩類によって放射線を浴びたときの光り方が異なることを、実験によって明らかにしました。ときにはかすかに緑に、またときにはかすかに青や白に見え、明るさは物質によってさまざまです。

これまでの観測からエウロパの表面の氷には、硫酸マグネシウムや塩化ナトリウムなどの塩類が混合していると予測されています。含まれる塩類によって光り方が異なるのであれば、夜側の光を観測することでエウロパの氷の組成を調べることができる可能性があります。また、エウロパの地下には海があると考えられています。表面の氷の組成が分かれば、地下の海に関する手がかりを得ることができるかもしれません。

NASAでは2020年代半ばに、木星を周回しながらエウロパの観測を行う探査機「エウロパ・クリッパー」を打ち上げる予定です。ミッションの科学者は、光がエウロパ・クリッパーの観測機器で検出可能かどうかを評価するため、今回の研究結果を検討しているとのことです。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech

(参照)NASA