初期の宇宙で最も暗い銀河を発見! ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測

アメリカ、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)などの国際研究チームは、初期の宇宙でこれまで観測された中で最も暗い銀河を発見しました。

約138億年前のビッグバンの直後、宇宙は陽子と電子がばらばらな高温・高密度のプラズマ状態でした。その後、宇宙は冷えて水素原子が形成されました。やがて第1世代の星(ファーストスター)が誕生するまでの間は「宇宙の暗黒時代」と呼ばれます。

ビッグバンから数億年後、最初の星や銀河が誕生すると、星から放射される高エネルギーの紫外線によって周囲の水素原子を再び電離させます。これは「宇宙の再電離」と呼ばれます。

宇宙の再電離時代を代表する銀河のタイプを特定することは、今日の天文学の主な目標の1つです。ウェッブ望遠鏡が打ち上げられたことで、ようやくその時代に手が届くようになりました。

「ウェッブ望遠鏡でこれまで発見された銀河はほとんど明るいものばかりでした。それらは初期宇宙では稀なもので、当時を代表する銀河とは考えられていません」とUCLAのGuido Roberts-Borsani氏は語ります。「一方で、JD1のような非常に暗い銀河ははるかに数が多く、再電離を主に担っていたものだと考えられています」

今回の発見は、宇宙の暗黒時代がどのようにして終わったのかを理解するのに役立つと考えられています。

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重力レンズ効果で13倍の明るさに

JD1は、手前にある銀河団Abell 2744(パンドラ銀河団)の重力レンズ効果によって13倍明るく見えたことで発見されました。重力レンズとは、銀河団などの重力によって光が曲げられる現象です。奥にある天体の像をゆがめたり明るくしたりします。

研究チームはウェッブ望遠鏡のNIRSpec(近赤外線分光器)で取得したスペクトルをもとに、地球からの距離や星の数、塵や重元素の量などを測定しました。また、NIRCam(近赤外線カメラ)の画像と組み合わせることで、JD1の構造を詳細に調べ、星を形成中のガスと塵からなる細長い3つの塊を明らかにしました。

Image Credit: Guido Roberts-Borsani/UCLA); original images: NASA, ESA, CSA, Swinburne University of Technology, University of Pittsburgh, STScI

(参照)UCLA