ハッブル望遠鏡がとらえたエリダヌス座の渦巻銀河NGC 1309 | アストロピクス

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ハッブル望遠鏡がとらえたエリダヌス座の渦巻銀河NGC 1309

ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた渦巻銀河NGC 1309。エリダヌス座の方向、約1億光年の距離にあります。銀河円盤が地球に対して正面を向いている「フェイスオン銀河」で、まるで風車のような形をしています。

渦状腕には青く明るく輝く星形成領域があり、渦巻き構造に沿って赤みがかった塵の帯が見られます。その塵は古い星からなる黄色っぽい中心部まで入り込んでいます。背景には遠方にある銀河が多数写り込んでいます。

NGC 1309では、2002年9月にIa型の超新星SN 2002fkが観測されました。またNGC 1309には、セファイド変光星(ケフェウス座δ型変光星)も存在しています。Ia型超新星とセファイド変光星は、どちらも天体までの距離を測定するために利用されます。

Ia型超新星は、明るさの最大値がほぼ一定です。最大の明るさから絶対等級を求めて見かけの明るさと比べることで距離を測定します。一方のセファイド変光星は、変光の周期が長いほど絶対等級が明るいという関係が知られています。その周期-光度関係から絶対等級を求め、見かけの明るさと比較することで天体までの距離を測定できます。

Ia型超新星とセファイド変光星では測定できる距離が異なり、Ia型超新星のほうがより遠方まで測定できます。NGC 1309のように両者が存在していると、2つの距離測定方法を互いに較正することができます。

画像は2005年8月と9月に、ハッブル宇宙望遠鏡のACS(掃天観測用高性能カメラ)とWFC(広視野カメラ)を使って撮影された画像を処理して作られました。

Image Credit: NASA, ESA, The Hubble Heritage Team, (STScI/AURA) and A. Riess (STScI)

(参照)Hubblesite