生命を育む惑星にとって、比較的近距離で発生する超新星爆発が、これまで考えられていた以上にリスクをもたらす可能性があることがわかったとする研究が発表されました。
超新星爆発が生命の惑星に与える影響としてはこれまで、爆発の数日〜数か月後に超新星によって生成される強烈な放射線や、数百年〜数千年後に到達する高エネルギー粒子の危険性に焦点が当てられてきました。今回、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のIan Brunton氏らの研究チームは、超新星爆発の衝撃波が周囲の高密度ガスと衝突したときに生成される大量のX線が、爆発から数か月〜数年後に惑星へ到達し、それが数十年継続する可能性を示唆する研究を発表しました。
研究では、超新星爆発を起こした星から約160光年までの距離にある惑星が、致命的な影響を与えるX線にさらされる可能性があることが示されています。地球に似た惑星の場合、主星からの紫外線から生命を保護するオゾン層のかなりの部分が失われる可能性があるとのことです。食物連鎖の基礎にある海洋生物の死につながり、生物の大量絶滅につながる可能性もあります。
過去には地球も超新星爆発の影響を受けたか
超新星爆発をきっかけとするX線にさらされることと、主星からの紫外線の影響により、地球のように生命に満ちた惑星(上の図)でオゾン層が破壊され、また大気中に大量の二酸化窒素が生成され茶色のもやが発生する可能性があるとのことです(下の図)。
現在、地球の近傍には超新星爆発を起こしそうな星は存在していないため、今回の研究で示唆されたような危険はありません。ただ過去にはそのようなことが発生していた可能性があります。世界中のあちらこちらで超新星爆発由来とみられる鉄の放射性同位体が発見されていることなどから、約200万年前〜800万年前に地球の近くで超新星爆発が発生したと見られています。それらの超新星は地球から約65〜500光年の距離で起きたと推定されています。
研究は、NASA(アメリカ航空宇宙局)のチャンドラX線望遠鏡、スウィフト衛星、NuSTAR、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のXMM-Newtonなどで得られた、31の超新星爆発とその残光のX線観測データに基づいたものです。
Image Credit: NASA/CXC/M. Weiss