探査機の超高感度カメラで撮影した月面の暗闇 | アストロピクス

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探査機の超高感度カメラで撮影した月面の暗闇

2022年8月に打ち上げられた韓国の月探査機「タヌリ」には、NASA(アメリカ航空宇宙局)の超高感度カメラ「ShadowCam」が搭載されています。月の極域のクレーターには、直射日光が射すことのない「永久影」の領域があります。ShadowCamは、そのような暗い領域の高解像度画像を取得するための観測装置です。

ShadowCamは、NASAの月探査機マーズ・リコネッサンス・オービターに搭載されているカメラ「LROC」を改良したものです。LROCと比べると、感度が200倍ほど高くなっています。

ShadowCamは「間接照明」を利用して月面の暗闇を撮影します。極域の永久影の領域に太陽光が直接当たることはありません。ただ高い山やクレーターの壁面など近くにある地形で反射した光が射すことがあります。また太陽光が地球で反射して月面を照らすことがあります(「地球照」と呼ばれます)。ShadowCamは、地形による反射光や地球照などの「間接照明」を利用します。

この画像は、月の南極から約26kmのところにあるマービン・クレーターの縁の領域を撮影したものです。2023年2月28日に撮影されました。点光源からの光ではなく、弧を描くような地形からの反射光が当たっているため、画像上側と下側とでは小さなクレーター内の影の向きが異なっています。

こちらはマービン・クレーター周辺のより広範囲を移した画像です。直射日光にさらされていた左側の領域は明るすぎて白く飛んでしまっています。

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地球照による画像

この画像は、新月の直後に月の赤道域にあるブルース・クレーターの内部を撮影したものです。2023年1月22日に撮影されました。月面に太陽光は当たっておらず、地球照のみが月面を照らしています。クレーターの壁の斜面を流れ落ちる筋状のもようも見えています。画像は、カメラの感度テストの一環で撮影されました。地球照は、極域の永久影の領域での「間接照明」より10倍ほど暗いにもかかわらず、月面の詳細がとらえられています。

こちらの画像も地球照を利用して撮影されたものです。画像左側にアリスタルコス・クレーターの中央丘が見えています。2023年2月22日に撮影されました。

Image Credit: NASA/KARI/ASU

(参考記事)月の極域クレーター内の永久影を超高感度カメラで撮影!

(参照)NASA