この画像は、木星を周回中のNASA(アメリカ航空宇宙局)のジュノー探査機がとらえたもので、木星の衛星イオが映っています。2023年3月1日、ジュノー探査機がイオに接近した際、約5万1500kmの距離から「ジュノーカム」というカメラで撮影されました。解像度は1ピクセルあたり約35km。
イオは「ガリレオ衛星」と呼ばれる木星の4大衛星のうちの1つです。太陽系で最も火山活動が活発な天体として知られています。木星や他のガリレオ衛星の潮汐力によって内部が加熱されて火山活動が発生しています。
イオへの過去4度のフライバイ時の撮影画像
こちらは、これまでに行われたジュノー探査機による4度のイオへの最接近の際に撮影された画像を並べたものです。いずれもジュノーカムで撮影されました。回を追うごとにイオへの距離が短くなっており、画像の解像度が上がっているのが分かります。
いちばん左の画像は2022年4月9日、41回目の木星最接近(PJ41)の際に撮影されたもの。最接近距離は約10万6000kmでした。昼夜境界のすぐ右に、三角形のもようが見られます。
左から2番目の画像は、2022年7月5日、43回目の木星最接近(PJ43)の際に、約8万6000kmの距離から撮影されました。三角形のもようが中央左上に見られます。
左から3番目の画像は、2022年12月14日、47回目の木星最接近(PJ47)時に、約6万4000kmから撮影されたものです。三角形のもようが3つの火山として区別できます。また全体的に表面も地形がはっきりしてきています。
いちばん右は冒頭の画像と同じものです。2023年3月1日、49回目の木星最接近(PJ49)の際に撮影されたもので、イオへの最接近距離は約5万1500km。
ジュノー探査機が赤外線でとらえたイオ
こちらはジュノー探査機が赤外線でとらえたイオの画像です。2021年10月16日、ジュノー探査機に搭載されているJIRAM(赤外線オーロラマッピング装置)で撮影されました。短い間隔でイオの火山活動がとらえられています。
この画像に映っているのは、2022年12月14日(左)と2023年3月1日に撮影されたイオです。ジュノー探査機のジュノーカムでとらえた可視光と、JIRAMでとらえた赤外線のデータを合成したものです。
5月16日に高度約3万5500kmまで接近
ジュノー探査機は、2023年5月16日に衛星イオでフライバイ、その後、木星に最接近する予定です。イオには高度約3万5500kmまで接近することになっており、これまででイオに最も接近することになります。この距離は、地球上空にある「ひまわり」などの静止衛星の高度とほぼ同じです。
ジュノー探査機はイオへの最接近時、ジュノーカムやJIRAMのほか、MWR(マイクロ波放射計)などでも観測を行い、イオの火山噴火と木星の強力な磁気圏やオーロラとの相互作用などを調べる予定です。ジュノー探査機はまた、今後予定されているフライバイでは、イオの表面から1500km以内まで接近することになっています。
(参照)Mission Juno