NASA(アメリカ航空宇宙局)の研究チームが、天王星を電波(マイクロ波)で観測し、天王星の北極にポーラーサイクロン(極渦、北極低気圧)と見られる現象を発見しました。
観測は、アメリカにある電波望遠鏡カール・G・ジャンスキーVLA(Very Large Array、超大型電波干渉計群)で行われました。研究チームは天王星のメタンの雲の下を観測し、北極で循環するガスが温かく乾燥しているように見えることを発見しました。これは強力な低気圧の特徴と一致します。
天王星は自転軸が98度傾いており、ほぼ横倒しの状態で太陽を公転しています。また天王星が太陽を1周するには約84年かかるため、地球から見ると長期間にわたり、天王星の一方の極しか見ることができません。北極域の大気をより詳しく観測できるようになったのは、2015年ごろからでした。
水星以外の惑星で極の低気圧/高気圧が確認された
コンパクトな形で中心に温かく乾燥したガスがある天王星の北極の低気圧は、カッシーニ探査機が観測した土星の低気圧とよく似ています。今回の発見により、大気がほぼ存在しない水星以外の惑星の極には、低気圧(惑星の自転と同じ方向に回転)または高気圧(自転と逆方向に回転)が確認されたことになります。
天王星や土星の低気圧は、地球とは異なり水の上で形成されるわけではなく、移動することもありません。それらは極に固定されています。研究チームは今後、天王星のポーラーサイクロンがどのように変化していくのかを注視していくとのことです。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech/VLA