画像に映っているのは、さそり座の方向、600光年の距離にある星形成領域「おおかみ座3(Lupus 3)」です。画像左側には暗黒星雲が、右側には明るく輝く星団が映っています。一見、両者に関連はなさそうにみえるかもしれませんが、実際には非常に密接に関連しています。
暗黒星雲には大量の塵が含まれています。星雲の中で密度の高いところは重力の影響で収縮し、やがて高温になって輝きはじめます。その時点ではまわりの塵に邪魔されて、外から可視光で星の光をみることはできません。星が高温になるにつれて、星からの放射や恒星風によって星のまわりの星雲が取り払われていき、画像右側にみえる青い星のように可視光でも観測できるようになるのです。星のまわりにまだ残っている塵は、星の光を反射してぼんやりと明るくなっています。
この画像は、南米チリにあるESO(ヨーロッパ南天天文台)ラ・シヤ天文台のMPG/ESO 2.2m望遠鏡で撮影されたものです。2013年1月にリリースされました。
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https://www.eso.org/public/images/eso1303a/zoomable/
Image Credit: ESO/F. Comeron