うねる雲や渦が一面を覆っていて、一見おどろおどろしくもみえるこの画像、NASA(アメリカ航空宇宙局)の木星探査機ジュノーが、木星の表面をとらえたものです。中央にみえる渦の中が暗く映し出されています。まるで深い穴が空いているように見えることから「Abyss(深淵)」とも非公式に呼ばれていますが、実際に深い穴なのかどうかは、はっきりしていません。
ジュノーは53日間で木星を1周する軌道をまわっています。その軌道は、木星の北極と南極上空を通る「極軌道」と呼ばれる軌道で、木星に最も近づくときは雲頂から5000kmほど、遠ざかるときは800万kmほどになります。
ジュノー探査機は木星に最接近するたびに、搭載しているジュノーカムというカメラを使い木星表面を撮影しています。そのデータは一般に公開され、誰でも処理することが可能です。この画像は“市民科学者”のGerald Eichstädt氏とSeán Doran氏が、2019年5月29日に行われた20回目の最接近の際のデータをもとに作成したものです。撮影時、ジュノーは木星の雲頂1万4800kmの距離にいました。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Gerald Eichstadt/Sean Doran