銀河系中心のブラックホールからの強烈な閃光が、銀河系外のガス雲を照らし出した

約350万年前、銀河系の中心にある超巨大ブラックホールから巨大なエネルギーが放出されました。その爆発は、太陽の10万倍の質量を持つ水素ガス雲がブラックホールの降着円盤に落下したために引き起こされたと考えられています。

爆発に伴う閃光は、遠く20万光年はなれた「マゼラニック・ストリーム(マゼラン雲流)」まで届いていました。マゼラニック・ストリームとは、大小マゼラン銀河から伸びるリボン状の巨大なガス雲です。銀河系中心のブラックホールで発生した大爆発で、銀河円盤の上下方向へ紫外線が円錐状に放射されました。紫外線が、マゼラニック・ストリームのガスの一部を電離して輝かせたのです。

宇宙望遠鏡科学研究所(STScI)のAndrew Fox氏は、遠方のクェーサーの光を分析することでマゼラニック・ストリームのガスを調べました。クェーサーからの光がガス雲を通り過ぎると、特定の波長の光が雲の中の原子に吸収されます。クェーサーの光のスペクトルを見ることで、ガスの性質を調べることができるのです。

大小マゼラン銀河が銀河系のまわりを回る軌道上には、「リーディング・アーム(先行腕)」と呼ばれる細断されたガスの“腕”も、大小マゼラン銀河に先行するように存在しています。研究チームでは、マゼラニック・ストリームの奥にある21個のクェーサーと、リーディング・アームの奥にある10個のクェーサーからの光を分析しました。

その結果、マゼラニック・ストリームではブラックホールからの閃光によってライトアップされた痕跡が見つかりました。一方、リーディング・アームからはライトアップの痕跡は見つかりませんでした。リーディング・アームは銀河円盤の上下方向から外れているため、円錐状の閃光を浴びなかったのです。

銀河系の銀河円盤の上下方向には、「フェルミ・バブル」と呼ばれる巨大な泡構造があります。2010年にNASAのフェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡によって発見された、約3万光年にも及ぶ高温プラズマの泡です。このフェルミ・バブルを生み出したのも、上で述べた爆発現象だったとみられています。

「フェルミ・バブルとマゼラニック・ストリームは互いに無関係だと考えられていましたが、銀河系中心のブラックホールからの閃光が両者に重要な役割を果たしていたことが分かりました」とFox氏は述べています。

Image Credit: NASA, ESA and L. Hustak (STScI)

https://www.nasa.gov/feature/goddard/2020/intense-flash-from-milky-ways-black-hole-illuminated-gas-far-outside-of-our-galaxy