ブラックホール周囲の円盤を可視化 NASAが公表した新映像 | アストロピクス

【Googleニュースでアストロピクスをフォローして新着記事をチェック!】

ブラックホール周囲の円盤を可視化 NASAが公表した新映像

この映像は、ブラックホールの周囲のようすをシミュレートして映像化したものです。NASA(アメリカ航空宇宙局)が2019年9月25日に公表しました。

たとえば連星系の一方の星がブラックホールになった場合、もう一方の星(伴星)からガスが引っ張られて、ブラックホールのまわりに「降着円盤」と呼ばれるガス円盤ができます。上の映像は、そのような降着円盤をともなったブラックホールが、円盤の側面方向から見たときにどのように見えるのかをシミュレートしたものです。ブラックホールの極端に強い重力によって、降着円盤のさまざまな領域から出た光が曲がり、見えそうもないところまで見えています。

画像を見ると、向かって右側よりも左側の方が明るく見えています。円盤は上から見て反時計回りに回っており、左側では輝くガスが非常に速い速度で手前に移動しているため、ドップラー効果の影響によって明るさが増しています。またブラックホールの向こう側にある降着円盤の上面がブラックホールの上に、下面がブラックホールの下に回り込むようにして見えています。

中央の暗い部分にある細いリング状のラインは「光子リング」と呼ばれるものです。ブラックホールに非常に近く重力による光の曲がり方が大きいために、ブラックホールを2~3回、あるいはそれ以上周回してから私たちの目に届く光が、光子リングとして見えています。

その光子リングの内側の暗い部分は「ブラックホール・シャドウ」と呼ばれます。ブラックホール・シャドウは、事象の地平面(それより内側に入ってしまうと光も抜け出せなくなる境界面)の2倍ほどの領域です。

以下のリンク先では、他の動画も見ることができます。上の画像とは異なる角度から見た動画などがありますので、興味のある方はご覧ください。

Image Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/Jeremy Schnittman

https://svs.gsfc.nasa.gov/13326