土星に照らされた衛星イアペタス | アストロピクス

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土星に照らされた衛星イアペタス

2004年12月31日、カッシーニ探査機が土星の衛星イアペタスに接近しました。画像は最接近の約10分後に撮影されたイアペタスです。

画像に映るイアペタスは、太陽光が直接当たって明るく見えているわけではありません。イアペタスを照らしているのは、土星で反射された太陽光です。

地球から月を見たとき、太陽光が直接当たっていない領域に、地球で反射した太陽光が当たりうっすらと月の表面が見えることがあります。このような現象は「地球照」と呼ばれます。地球による「間接照明」で、ほんのり明るく見えるのです。冒頭の画像のイアペタスでは、いわば「土星照」によって表面が見えています。

土星照はあまり明るくないため、画像の撮影には82秒間の露光時間が必要でした。カッシーニ探査機はその間、カメラをイアペタスに向け続けたため、背景の星々がすじ状に流れて見えています。

イアペタスの表面は、全体の半分が明るく半分が暗い領域に分かれています。画像には、その明暗の境界領域が映っています。暗い領域が太陽の熱を吸収して温まることで氷などの揮発性物質が昇華し、低温領域へと移っていきます。それにより暗い領域はさらに暗くなり、低温の明るい領域がさらに明るくなります。そのようにしてイアペタスの明暗の領域が分かれているとみられています。(参考記事:明るい領域と暗い領域がくっきり分かれる土星の衛星イアペタス

画像は2004年12月31日に撮影されました。撮影時、カッシーニ探査機はイアペタスから約12万3370km離れたところに位置していました。画像の解像度は1ピクセルあたり730m。

Image Credit: NASA/JPL/Space Science Institute

(参照)Planetary Photojournal