塵に隠された球状星団「リラー1」をハッブル望遠鏡がとらえた | アストロピクス

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塵に隠された球状星団「リラー1」をハッブル望遠鏡がとらえた

この画像は球状星団「リラー1」をハッブル宇宙望遠鏡が撮影したもので、青く映る密集した星々の向こうに、赤く映る球状星団が見えています。2022年5月23日に、ハッブル宇宙望遠鏡の「今週の1枚(Picture of the Week)」としてリリースされた画像です。

リラー1までの距離は約3万光年と、天文学的には比較的近い距離にあります。ただ天の川銀河の中央部にある、星が密集し塵の多い「バルジ」と呼ばれる領域に位置しています。そのため可視光では視界をさえぎられてしまい、リラー1をはっきり見ることができません。可視光(とくに青色光)が星間塵に散乱されてしまうのです。

一部の赤外線や可視光のうちの赤色光は、その星間塵の領域を透過できます。可視光と近赤外線に感度を持つWFC3(広視野カメラ3)で撮影したことで、リラー1を鮮明にとらえることができました。

球状星団の多くは年老いた星しか存在しません。なかには宇宙年齢と同じくらいの年齢の星もあります。しかし多くの球状星団とは異なり、リラー1には少なくとも2つの異なる年齢の星の集団が存在しています。最も古い星は120億歳、若い星は10億〜20億歳と、年老いた星と若い星が混在しているのです。リラー1では、非常に長期間にわたって星を形成することができたと天文学者は考えています。

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, F. Ferraro

(参照)ESA/Hubble