原始惑星系円盤「ピーターパン・ディスク」が“大人”にならない条件は? | アストロピクス

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原始惑星系円盤「ピーターパン・ディスク」が“大人”にならない条件は?

地球や木星などの惑星は、若い星の周囲にあるガスと塵の円盤(原始惑星系円盤)から生まれると考えられています。原始惑星系円盤は数百万〜1000万年程度で惑星が形成され消えてしまうと考えられてきました。

ところが2016年以降、他の典型的な原始惑星系円盤と比べて5〜10倍も長生きするものが発見されてきました。このような原始惑星系円盤は、“大人にならない”ことから「ピーターパン・ディスク」と呼ばれます。冒頭の画像は、ピーターパン・ディスクの想像図です。ピーターパン・ディスクがなぜ長生きするのか、理由はよく分かっていませんでした。

イギリスのクイーン・メアリー(ロンドン大学)の研究チームは、コンピューター・シミュレーションを使い、ピーターパン・ディスクが形成される条件を探りました。なお研究チームでは、その条件を「ネバーランドのパラメーター」と呼んでいます。

研究によれば、ピーターパン・ディスクが形成されるには、他の星から遠い孤独な環境にあることが必要とのこと。近くに他の恒星があると、それらの星からの放射線で原始惑星系円盤が吹き飛ばされてしまうからです。また、ふつうの円盤よりもはるかに大質量でスタートする必要があるとのことです。

ピーターパン・ディスクが初めて発見されたのは、NASA(アメリカ航空宇宙局)とズーニバースが進める原始惑星系円盤を探すための市民科学プロジェクト「Disk Detective」プロジェクトによるものでした。2020年1月に発表された4つを含め、Disk Detectiveによってこれまで7つのピーターパン・ディスクが発見されました。

Image Credit: Jonathan Holden/NASA

https://www.qmul.ac.uk/media/news/2020/se/astronomers-discover-how-long-lived-peter-pan-discs-evolve.html

https://science.nasa.gov/get-involved/citizenscience/news/peter-pan-disks