この画像は「ろ座銀河団」の一部をとらえたものです。画面中央付近にNGC 1399(上)とNGC 1404の二つの楕円銀河が映り、左下に不規則銀河NGC1427Aが映っています。
ろ座銀河団は、その名の通りろ座を中心に位置する銀河団で、地球から約6000万光年の距離にあります。600個以上の銀河で構成されており、天の川銀河から1億光年以内にある銀河団の中では、おとめ座銀河団に次いで2番目に銀河の多い銀河団です。
画像に映っているような楕円銀河は、渦巻銀河と比べてはるかに古い星を含むことが多く、ろ座銀河団のような銀河団でよく見られます。NGC 1399とNGC 1404はそれぞれ、ろ座銀河団のなかで最も明るい銀河の一つです。重力によって互いに引き寄せあっており、その相互作用によって、下のNGC 1404からはガスが引きはがされています。
左下に見えるNGC 1427Aは、大マゼラン銀河のような不規則銀河です。NGC 1404と同じように、NGC 1427Aは時速220万kmで銀河団の中心に向かって移動しています。
画像にはまた、ろ座銀河団より手前にある天の川銀河の星々や、より遠方にある銀河なども映り込んでいます。十字に光条が伸びているのは天の川銀河の星です。
画像は、ダークエネルギーの解明に向けて、2013年から2019年にかけて行われた国際共同プロジェクト「ダークエネルギーサーベイ」のデータから作成されたものです。南米チリ北部のセロ・トロロ汎米天文台(CTIO)にあるビクター・M・ブランコ4m望遠鏡に搭載された「ダークエネルギーカメラ(DECam)」で撮影されました。NSF(アメリカ国立科学財団)のNOIRLab(National Optical-Infrared Astronomy Research Laboratory)から2021年9月23日にリリースされた画像です。
なおDECamで撮影した天体の画像は、これまでアストロピクスでもいくつか紹介したことがあります。興味のある方はこちらをご覧ください。
Credit:
CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA
Acknowledgment: Image processing: T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF’s NOIRLab), J. Miller (Gemini Observatory/NSF’s NOIRLab), M. Zamani (NSF’s NOIRLab) & D. de Martin (NSF’s NOIRLab)
(参照)NOIRLab