スピッツァー望遠鏡がとらえた「創造の山々」 | アストロピクス

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スピッツァー望遠鏡がとらえた「創造の山々」

この画像はスピッツァー宇宙望遠鏡が赤外線でとらえたもので、「W5」と呼ばれる星形成領域の一部が映っています。W5はカシオペヤ座の方向、約7000光年の距離にある、さしわたし50光年ほどの星形成領域です。

画像に映っているのは、冷たいガスと塵の柱状の構造です。それらがまるで山のようにそびえ立っていることから、スピッツァー望遠鏡の科学者はこの領域を「創造の山々(Mountains of Creation)」と呼びました。

ハッブル宇宙望遠鏡やジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した有名な「創造の柱」と同じように、「創造の山々」も高温の大質量星からの放射と星風によって侵食されて形成されています。ただ創造の柱と比べると、この画像に映る創造の山々は10倍以上の大きさがあります。

スピッツァー宇宙望遠鏡は、塵を透過する赤外線で観測することで、これらの山々の中に数多くの星(白・黄)が生まれているのを確認しました。画像の赤色はPAH(多環芳香族炭化水素)として知られる有機分子をを示しています。PAHは、ガスと塵からなる星の誕生の場でよくみられます。小さな塵粒子のように、若い星からの光によって温められ、スピッツァー望遠鏡が観測できる赤外線を放射しています。

画像は、3.6μmの赤外線を青、4.5μmを緑、5.8μmをオレンジ、8.0μmを赤に割り当てて色合成した擬似カラー画像です。

こちらはハッブル望遠鏡が1995年に撮影した「創造の柱」の画像と縮尺を合わせて大きさを比較したものです。スピッツァー望遠鏡がとらえた「創造の山々」が非常に大きいことがわかります。

Image Credit: NASA/JPL-Caltech/L. Allen (Harvard-Smithsonian CfA)

(参照)Spitzer Space Telescope