NASAの次世代大型宇宙望遠鏡の名称が「ハッブル宇宙望遠鏡の母」の名に決定! | アストロピクス

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NASAの次世代大型宇宙望遠鏡の名称が「ハッブル宇宙望遠鏡の母」の名に決定!

NASA(アメリカ航空宇宙局)は2020年5月20日、現在開発中の次世代宇宙望遠鏡「WFIRST(Wide Field Infrared Survey Telescope、広視野赤外線サーベイ望遠鏡)」の名称を「ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡」とすると発表しました。

この名称は、ハッブル宇宙望遠鏡の実現に貢献し「ハッブル宇宙望遠鏡の母」とも呼ばれるナンシー・グレース・ローマンさん(1925〜2018)に由来します。

ローマンさんは、NASA設立半年後の1959年にNASAに入局し、1960年代からいくつもの観測衛星に関わりました。1970年代には、IUE(国際紫外線天文衛星)やCOBE(宇宙背景放射探査衛星)などにも携わりました。

何よりもローマンさんは、ハッブル宇宙望遠鏡の実現に貢献したことで知られています。ローマンさんは天文学者と技術者からなる委員会を立ち上げ、またNASAや議会に対して宇宙望遠鏡の必要性を説き、ハッブル宇宙望遠鏡を実現させました。

NASAのジム・ブリデンスティン長官は次のように述べています。「NASAが宇宙物理学のパイオニアとなり、また世界で最も強力で生産性の高いハッブル宇宙望遠鏡を打ち上げたのは、ナンシー・グレース・ローマンさんのリーダーシップとビジョンのおかげです」

ローマン宇宙望遠鏡は、現在稼働中のハッブル宇宙望遠鏡、2021年3月の打ち上げ予定のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡に次ぐ大型宇宙望遠鏡です。暗黒エネルギー(ダークエネルギー)や太陽系外惑星の観測、近赤外線サーベイなどを主な目的としています。

主鏡の口径はハッブル宇宙望遠鏡と同じ2.4m。広視野カメラとコロナグラフを搭載する設計になっています。広視野カメラはハッブル宇宙望遠鏡の赤外線観測装置の100倍の視野をもち、短い観測時間でより広い空を観測することができます。コロナグラフでは太陽系外惑星を直接撮像して分光観測を行います。

ローマン宇宙望遠鏡は現在、2020年台半ばの打ち上げを目指して開発が進められています。

Image Credit: NASA

https://www.nasa.gov/press-release/nasa-telescope-named-for-mother-of-hubble-nancy-grace-roman