ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が特異銀河NGC 3256を撮影した画像が公開されました。NGC 3256は天の川銀河ほどのサイズの銀河で、ほ座の方向、約1億2000万光年の距離にあります。うみへび座・ケンタウルス座超銀河団に属する銀河の1つです。
画像はNIRCam(近赤外線カメラ)とMIRI(中間赤外線装置)で撮影した画像を合成したもので、銀河全体に分布する塵が赤く見えています。星からの放射によって温められた塵が赤外線を放射しています。
NGC 3256は、約5億年前に同じくらいの質量の2つの銀河が衝突してできたと推定されています。ウェッブ望遠鏡のこの画像ではやや分かりにくいのですが、銀河の外側へ星や塵などからなる「潮汐の尾」が伸びており、それが過去の衝突を物語っています。
NGC 3256を生み出した銀河衝突は、この画像の最も明るい部分でみられるような爆発的な星形成を引き起こしました。形成された幼い星は赤外線の波長で最も明るく輝きます。
こちらはハッブル宇宙望遠鏡が可視光でとらえたNGC 3256の画像です。可視光では塵が暗く映っています。
こちらの映像では、ウェッブ望遠鏡とハッブル望遠鏡の画像を重ね合わせ、交互に表示しています。
ウェッブ望遠鏡のウェブページでは毎月、「Picture of the Month(今月の1枚)」の画像を公開しています。今回紹介した画像は2023年7月3日にPicture of the Monthとして掲載されたものです。
(参照)ESA/Webb