2019年8月に発見され、12月に地球へ最接近したボリソフ彗星(2I/Borisov)。オウムアムアに次ぐ2番目の恒星間天体として話題になりました。そのボリソフ彗星の核が分裂した可能性が浮上しました。ただし彗星の核が半分に割れたというわけではなく、小さな破片が分離したということのようです。
ボリソフ彗星の外観が2020年3月下旬に変化したことを、デビッド・ジューイット氏らがAstronomer's Telegramに速報として報告しました。画像はその際に投稿されたもので、ハッブル宇宙望遠鏡で撮影されたボリソフ彗星です。左から3月23日、28日、30日に撮影されたものです。
23日の画像では彗星の核が点状に見えています。それに対して、30日の画像では点状ではなく細長く映っており、2つに分かれているように見えます。28日の画像ですでに、核は点状には見えていません。核片が23日に放出されたとすると速度は秒速0.3mとなり、これは太陽系での彗星が分離したときの典型的な速度と同じものだとのことです。
こちらの画像は、2019年12月9日、太陽に最接近した直後にハッブル宇宙望遠鏡が撮影したボリソフ彗星です。撮影時、ボリソフ彗星は地球から約2億9800万kmの距離にいました。
太陽に接近した彗星の核が分裂するのは珍しいことではありません。核が分裂すると、核内部の物質が放出されます。それを観測すれば、彗星の組成を推定することができます。ボリソフ彗星でそういった観測ができれば、太陽系の彗星と組成を比較することも可能になります。
ハッブル宇宙望遠鏡による追観測は今後も計画されているとのことで、今後の観測に要注目です。