太陽系外惑星系でジャイアントインパクトの証拠を発見 | アストロピクス

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太陽系外惑星系でジャイアントインパクトの証拠を発見

地球から95光年の距離に「HD 172555」と名付けられた恒星があります。その周囲の惑星系で、ジャイアントインパクト(巨大衝突)の証拠を発見したとする研究が、アメリカ、マサチューセッツ工科大学などの研究チームによって発表されました。HD 172555は約2300万年前に誕生した若い恒星です。研究チームは、少なくとも20万年前に、地球とほぼ同じ大きさの地球型惑星に、それよりも小さな天体が秒速10kmで衝突したと考えています。

研究チームは、アルマ望遠鏡のアーカイブデータを分析し、恒星の周囲にある一酸化炭素を検出しました。その量を測定したところ、金星大気に含まれる一酸化炭素の20%相当のガスが発見されました。また大量の一酸化炭素が恒星の近く(10天文単位)を周回していることも分かりました。一酸化炭素は通常、恒星の光によって分子が分解される光解離に弱く、恒星の近くではほとんど存在しません。

研究チームは恒星の近くに大量の一酸化炭素が存在することを説明するため、さまざまなシナリオを検証しました。その結果、説明可能な唯一のシナリオが、そのガスがジャイアントインパクトの残骸であるというものだったのです。研究チームは、このガスは少なくとも20万年前に起きたジャイアントインパクトで放出されたと推定しています。

Image Credit: Mark A. Garlick

(参照)Massachusetts Institute of Technology