
この画像はハッブル宇宙望遠鏡がとらえたもので、地球から28億光年離れたところにある、くじら座の銀河団エイベル(Abell)209が映っています。
エイベル209を構成する銀河は、それぞれが数百万光年も離れています。ただ、銀河間の何もないように見える空間にも、X線でしか観測できない高温のガスが満ちています。さらには正体不明のダークマター(暗黒物質)も存在しています。
画像には多くの楕円銀河とともに渦巻銀河なども映っています。それらの銀河の間に、引き伸ばされたような形をした銀河も見られます。それらの銀河は、銀河団の重力レンズ効果によって像が歪んで見えている、銀河団より遠方にある銀河です。重力レンズとは、手前にある天体の重力によって、奥にある天体からの光が曲がる現象のことです。銀河の像の歪みを測定することで銀河団内の暗黒物質の分布を推定することができます。
画像は、ハッブル宇宙望遠鏡のACS(掃天観測用高性能カメラ)とWFC3(広視野カメラ3)で撮影されたもので、「今週の1枚(Picture of the Week)」として2025年7月7日に公開されました。
(参考)「ハッブル今週の1枚」記事一覧
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, M. Postman, P. Kelly
(参照)ESA/Hubble