ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた球状星団NGC 6717。いて座の方向、2万光年以上の距離にあります。球状星団は一般に、数十万個程度の数の星が重力で球状に集まった天体です。周辺部に比べ中心部の星が多く、この画像を見てもそのことが分かります。
画像中央付近には、十字形の光条をともなった星が見られます。これらの星はNGC 6717に属する星ではなく、手前にある前景の星です。ハッブル宇宙望遠鏡の副鏡を支える構造物の影響で、十字形に光条があらわれています。
いて座を含む空の領域は、銀河系中心も含まれます。そこには光を吸収するガスと塵が多く存在しています。光が吸収される現象は「減光」と呼ばれますが、減光のために銀河系中心付近の球状星団の研究は非常に困難です。そこで天文学者はNGC 6717の調査のために、ハッブル宇宙望遠鏡のWFC3(広視野カメラ3)とACS(掃天観測用高性能カメラ)を組み合わせて使用しました。
画像は2021年9月6日にリリースされたハッブル宇宙望遠鏡の「今週の1枚(Picture of the Week)」です。
Image Credit: ESA/Hubble and NASA, A. Sarajedini
(参照)ESA/Hubble