数百から数千もの銀河が集まる銀河団の内部には、どの銀河にも属さない数多くの星が銀河と銀河の間をさまよっています。そのような星々が放つ淡い光は「銀河間光(intracluster light)」と呼ばれます。
画像は1枚目が「MOO J1014+0038」、2枚目が「SPT-CL J2106-5844」と呼ばれる銀河団をハッブル望遠鏡がとらえたものです。青色の部分は、ハッブル望遠鏡のデータをもとに色付けされたもので、銀河間光を示しています。
なぜ銀河団内に星がさまようようになったのか、はっきりしたことはわかっていません。銀河団内の銀河からはぎ取られた可能性、銀河の合体時に放り出された可能性、あるいは何十億年も前に銀河団が形成されたころから存在している可能性などが考えられています。
銀河団全体の光に対する銀河間光の割合はずっと一定
ハッブル宇宙望遠鏡の観測により、銀河間光のもとになる星々は何十億年もの間さまよい続けていることを示唆する結果が得られました。この観測には、100億光年ほど離れた10個の銀河団が含まれています。銀河間光は、地上から見る夜空より1万倍も暗いため、ハッブル望遠鏡のように宇宙から出ないと観測できません。
観測では、銀河団内のすべての光に対する銀河間光の割合が、数十億年さかのぼっても一定だったことが明らかになりました。このことは、さまよう星々が銀河団形成の初期段階から銀河に属していなかったことを意味するとのことです。星が銀河から引きはがされることはありますが、その場合、時間の経過とともに銀河間光の明るさは増加するはずです。しかし一定であることから、そのように引きはがされることが銀河間光の主な原因ではないと研究チームは考えています。
ただ、そもそも星たちがなぜ銀河に属さないようになったのかは分かっていません。形成初期の銀河は小さく、重力も小さかったため、星が簡単に離れていったのかもしれません。
Credits: NASA, ESA, STScI, James Jee (Yonsei University); Image Processing: Joseph DePasquale (STScI)
(参照)Hubblesite