ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた大質量の星団ウェスタールンド2 | アストロピクス

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた大質量の星団ウェスタールンド2

この画像に映っているのは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた星団ウェスタールンド2です。ウェスタールンド2は、りゅうこつ座の方向、地球から2万光年離れたところにある「ガム29」という星雲内にあります。

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若く巨大な星団と、それを取り巻くガス雲

星団は直径6〜13光年ほどで、天の川銀河で最も高温で明るく、大質量の恒星がいくつか存在しています。画像は星団の一部をとらえたものです。ウェスタールンド2は、2015年に、ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ25周年記念として公開された画像に映っていた星団です。

画像上部に若く巨大な星団が映し出されています。星団の周囲では、ガスと塵の雲が赤色やオレンジ色に見えています。ガス雲は、星々からの紫外線や恒星風により侵食され、密度の高い領域が残っています。

なお放射状に光のすじが伸びている星は、星団より手前側にある星々です。放射状の光のすじは「回折スパイク」と呼ばれるもので、望遠鏡の構造に由来して見えているものです。

こちらはハッブル望遠鏡がとらえたもので、冒頭のウェッブ望遠鏡の画像と同じ範囲が映っています。ハッブル望遠鏡の打ち上げ25周年記念として公開された画像の一部の領域です。(参考)ハッブルがとらえた巨大星団ウェスタールンド2 〜 30 Years, 30 Images #25(2015年)

ウェッブ望遠鏡の観測により、ウェスタールンド2に存在する褐色矮星の全容が明らかになりました。その中には、木星質量の約10倍という小さな天体も含まれていました。そのデータからは、さまざまな進化段階にある数百の円盤をもつ星が発見され、質量の大きな若い星団での円盤の進化と惑星形成の理解が深められたとのことです。

画像はウェッブ望遠鏡のNIRCam(近赤外線カメラ)とMIRI(中間赤外線装置)で撮影されました。

ウェッブ望遠鏡のウェブページでは毎月、「Picture of the Month(今月の1枚)」の画像を公開しています。今回紹介した画像は2025年12月19日にPicture of the Monthとして掲載されたものです。

(参考)「ウェッブ望遠鏡Picture of the Month」記事一覧

Image Credit: (JWST) ESA/Webb, NASA & CSA, V. Almendros-Abad, M. Guarcello, K. Monsch, and the EWOCS team. (HST) NASA, ESA, the Hubble Heritage Team (STScI/AURA), A. Nota (ESA/STScI), and the Westerlund 2 Science Team

(参照)ESA/Webb