日没時の一瞬の緑の輝き、太陽の「グリーンフラッシュ」と飛行機のシルエット | アストロピクス

日没時の一瞬の緑の輝き、太陽の「グリーンフラッシュ」と飛行機のシルエット

この画像は、南米チリ、アンデス山脈にあるセロ・パチョン山から日没の瞬間をとらえたものです。沈みゆく太陽の上縁に緑色の光が見えています。この現象は「グリーンフラッシュ(緑閃光)」として知られています。

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「大気差」によって生じるグリーンフラッシュ

星や太陽からやってくる光は、地球の大気に入ると屈折します。その効果により、星や太陽の像の位置が、大気のない状況と比べてずれる現象を「大気差」といいます。グリーンフラッシュは、この大気差によって生じる現象です。

波長の短い青や緑の光は赤い光より大きく屈折するため、太陽が沈む最後の瞬間、緑の光だけが太陽の上縁に残って見えます。なお緑より青い光の方が波長は短いのですが、青い光は大気中で散乱されてしまって私たちの目まで届きません。

理論上は日没のたびに発生しうる現象ですが、実際に肉眼で見られることはほとんどありません。緑色の層は非常に薄く、さらに太陽が地平線に隠れるまでのわずかな時間しか見ることができないからです。また空気が澄んでいることも必要です。

この画像には自然現象だけでなく、偶然にも夕日を背景に上昇する飛行機のシルエットもとらえられています。

撮影地であるセロ・パチョンには、ジェミニ南望遠鏡やSOAR望遠鏡、まもなく本格観測を開始する予定のベラ・C・ルービン天文台など、NOIRLab(アメリカ光学・赤外天文学研究所)が運用に関わる望遠鏡群が設置されています。

画像は、NOIRLabから2025年11月26日に「Images of the Week(今週の画像)」として公開されたものです。

(参考)「蜃気楼で幾重にも分かれて見える超レアな『グリーンフラッシュ』」

Image Credit: NOIRLab/NSF/AURA/P. Horálek (Institute of Physics in Opava)

(参照)NOIRLab