蜃気楼で幾重にも分かれて見える超レアな「グリーンフラッシュ」 | アストロピクス

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蜃気楼で幾重にも分かれて見える超レアな「グリーンフラッシュ」

この画像は、南米チリにあるセロ・トロロ汎米天文台(CTIO)から撮影されたもので、「グリーンフラッシュ(緑閃光)」と呼ばれる現象がとらえられています。グリーンフラッシュは日没時や日の出時に見られることのある珍しい現象です。日が沈む直前や昇った直後、太陽の上部で緑色の光がごく短い時間輝きます。

星からやってくる光は地球の大気中で屈折するため、星の位置は大気がない場合と比べて高いところにあるように見えます。「大気差」と呼ばれるこの現象は、地平線に近いほどズレが大きくなります。

大気差は太陽からの光も例外ではなく、仮に大気がなければ沈んでいる位置に太陽があっても、大気差によって太陽は地平線の上に見えることになります。また波長の短い光のほうが長い光より屈折率が大きいため、太陽光に含まれる赤よりも緑のほうがわずかに上にあるように見えます(より短い波長の青は大気で散乱されてしまい届きません)。グリーンフラッシュは、空気が澄んでいるなどの条件がそろったときに出現します。

グリーンフラッシュ自体が珍しい現象ですが、この画像に映るグリーンフラッシュはさらに珍しいことが重なっています。太平洋上の大気の複数の温度層によって蜃気楼が生じ、グリーンフラッシュが複数に分かれて重なっているかように見えているのです。

画像は、NSF(アメリカ国立科学財団)のNOIRLab(アメリカ光学・赤外天文学研究所)から2023年3月28日に「Images of the Week」として公開されたものです。またNASAの「Astronomy Picture of the Day」でも同日に紹介されています。

Image Credit: CTIO/NOIRLab/NSF/AURA/T. Slovinský & P. Horálek (IoP Opava)

(参照)NOIRLab