
天の川銀河の中心部には「バルジ」と呼ばれるふくらんだ領域があり、その周囲を銀河円盤が取り巻いています。この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡が天の川銀河のバルジの方向をとらえたものです。
星々が密集するバルジでは、年老いた赤色巨星が、より若い太陽のような星々とともに存在しています。画像に映る明るく青い星のほとんどは、おそらくは銀河円盤、つまりバルジよりも手前側に位置する最近形成された星です。
ハッブル宇宙望遠鏡を使った研究により、天の川銀河のバルジは、年齢の異なる星々が、それぞれ異なるスピードで飛び回っていることが明らかになりました。バルジの星の運動は化学組成によって異なっており、水素やヘリウムより重い元素が豊富な星は運動の乱れが小さく、重い元素が乏しい古い星よりも銀河中心のまわりを速く公転しているとのことです。
画像はハッブル宇宙望遠鏡のWFC3(広視野カメラ3)を使い近赤外線と可視光で撮影した画像を合成したものです。
ハッブル宇宙望遠鏡は1990年4月24日に打ち上げられました。NASA(アメリカ航空宇宙局)はハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ35周年(2025年4月24日)に向けて、これまでハッブルが撮影してきた画像から、「35 Years of Hubble Images」と題して各年1枚ずつ選んで紹介しています。バルジをとらえたこの画像は2018年に公開されたもので、28年目の画像として紹介されています。
(参考)「35 Years of Hubble Images」記事一覧
Image Credit: NASA, ESA, Thomas Brown