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この画像に映っているのは、矮小不規則銀河NGC 3109です。NGC 3109は、天の川銀河を含む局所銀河群を構成する銀河の一つで、うみへび座の方向、地球から約400万光年の距離にあります。直径は約4万光年。画像は、南米チリにあるセロ・トロロ汎米天文台(CTIO)のビクター・M・ブランコ4m望遠鏡に搭載されたダークエネルギー・カメラ(DECam)で撮影されました。
NGC 3109は、局所銀河群の中でも金属が最も乏しい銀河の一つであることがわかっています。天文学で「金属」という場合、炭素や酸素なども含め、水素やヘリウムよりも重い元素のことをいいます。
恒星は中心核で水素やヘリウムを消費してより重い元素を生成します。それらの元素は、星が死ぬときに星間空間へ放出され、次の世代の星の材料になります。宇宙が誕生したビッグバンの直後には水素やヘリウムなど軽い元素しか存在していませんでした。NGC 3109のような金属の乏しい銀河は、そのような初期宇宙の星や銀河と組成が似ていることから、初期宇宙の星や銀河の進化についてのヒントを与えてくれると考えられています。
5億7000万画素のDECamはもともと、ダークエネルギー(暗黒エネルギー)の解明に向けた「ダークエネルギーサーベイ」のために製造されました。サーベイ計画の後は、さまざまな観測に使われています。
(参考)「局所銀河群」記事一覧
Image Credit: Dark Energy Survey/DOE/FNAL/DECam/CTIO/NOIRLab/NSF/AURA; Image processing: R. Colombari & M. Zamani (NSF NOIRLab)
(参考)NOIRLab