おとめ座銀河団から離脱しつつある渦巻銀河M90 ハッブル宇宙望遠鏡が撮影

この画像に映っているのは、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた渦巻銀河M90(NGC 4569)です。M90は、おとめ座銀河団に属する銀河で、地球から約5500万光年離れています。

M90の銀河円盤の内側の領域には、画像ではピンク色に見えている星形成領域が存在しています。しかしM90の他の領域にはありません。

M90は3億年ほど前に銀河団の中心付近を通過しました。その際、銀河団内の高密度のガスが向かい風のようにM90に当たり、銀河から大量のガスが剥ぎ取られました。周囲に拡散したガスはもはや、M90が新しい星を形成するために利用できません。M90は、いずれ渦巻銀河からレンズ状銀河になるとみられます。

M90は地球に近づいている数少ない銀河の一つで、おとめ座銀河団から離脱する過程にあります。おとめ座銀河団のほかの銀河でも似たような速度が観測されていますが、方向はM90とは逆です。

画像はハッブル望遠鏡のWFC3(広視野カメラ3)で撮影されたもので、ハッブル望遠鏡の「今週の1枚(Picture of the Week)」として2024年10月14日に公開されました。

(参考)「ハッブル今週の1枚」記事一覧

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, D. Thilker, J. Lee and the PHANGS-HST Team

(参照)ESA/Hubble