美しく輝く「ばら星雲」と散開星団NGC 2244 ダークエネルギーカメラで撮影

この画像に映っているのは「ばら星雲」です。ばらの花びらに囲まれた中央には「NGC 2244」と呼ばれる若い星団が存在しています。花びらを赤や黄に輝かせているのは、その星団の星々です。

ばら星雲は、いっかくじゅう座の方向、約5000光年の距離にあります。画像は南米チリ、セロ・トロロ汎米天文台にあるビクター・M・ブランコ4m望遠鏡に搭載されている「ダークエネルギーカメラ(DECam)」で撮影されました。

約200万年前に誕生した散開星団NGC 2244の星々の強烈な恒星風が、星団の中央部に空洞を作り出しました。それらの星々が放射する紫外線が、星雲の水素ガスを電離して赤く輝かせています。中央の星々に近いところでは、酸素のような重い原子が電離して黄色く輝いています。

ばら星雲ではまた、塵を多く含む暗い柱状の構造がいくつもみられます。それらは、電離した水素の高温の殻と、その外側を取り囲む低温の水素の間の境界部分に存在しています。中央右上には、工具のスパナのような形をした柱状構造も見られます。

また、あまり目立ちませんが、塵からなる小さな暗い塊もたくさんみられます。丸い形や涙滴形をしたそれらの塊は、木星の数倍程度の質量しかありません。ばら星雲に数百個以上が点在しており、その中には褐色矮星や惑星程度の質量の天体が存在している可能性があります。

5億7000万画素のDECamはもともと、ダークエネルギー(暗黒エネルギー)の解明に向けた「ダークエネルギーサーベイ」のために製造されました。サーベイ計画の後は、さまざまな観測に使われています。

画像は、NOIRLab(アメリカ光学・赤外天文学研究所)の設立5周年を記念して公開されました。NOIRLabは、セロ・トロロ汎米天文台やジェミニ天文台、キットピーク国立天文台など5つの組織が2019年に統合されて設立されました。

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Image Credit: CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA
Image Processing: T.A. Rector (University of Alaska Anchorage/NSF NOIRLab), D. de Martin & M. Zamani (NSF NOIRLab)

(参照)NOIRLab