超新星が光る渦巻銀河NGC 3810 ハッブル望遠鏡が撮影

この画像に映っているのは、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた渦巻銀河NGC 3810です。NGC 3810は、しし座の方向、約5000万光年の距離にあります。地球からは、NGC 3810の銀河円盤がほぼ正面から見えており、明るい銀河中心から、渦状腕が渦を巻きながら伸びているのが映っています。

NGC 3810では、2022年に超新星SN2022zutが観測されました。冒頭のハッブル望遠鏡の画像にも、その超新星は映っています。超新星はIa型と呼ばれるタイプのもので、伴星のガスが白色矮星に降り積もるなどにより、白色矮星の質量がある限界を超えたときに爆発するものです。

Ia型超新星は、明るさの最大値がどれもほぼ一定であることから、最も明るいときの絶対等級を求めて見かけの明るさと比べることで距離を測定できます。ただし、超新星と地球との間に銀河間塵があると、光の一部が遮られて超新星が暗く見えてしまいます。正確な距離を知るには、光の暗さが距離によるものなのか、あるいは塵によるものなのかを調べる必要が出てきます。

ESA(ヨーロッパ宇宙機関)によれば、紫外線と赤外線で観測できるハッブル宇宙望遠鏡であれば、それを調べることが可能とのことです。紫外線は塵によってほぼ完全に遮られる一方、赤外線は塵の影響をほとんど受けません。両方の波長で観測することで、塵の影響を調べることができるのです。

画像はハッブル望遠鏡のWFC3(広視野カメラ3)で撮影されたもので、ハッブル望遠鏡の「今週の1枚(Picture of the Week)」として2024年7月8日に公開されました。

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, D. Sand, R. J. Foley

(参考)「ハッブル今週の1枚」記事一覧

(参照)ESA/Hubble