120億〜130億年前に天の川銀河の祖先と合体した銀河の残骸を発見

天の川銀河はかつて、他の銀河を吸収しながら成長したと考えられています。そのころの他の銀河の名残りが2つ、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のガイア衛星のデータとスローン・デジタル・スカイ・サーベイ(SDSS)のデータを組み合わせて発見されました。

シャクティの星々はピンク、シヴァの星々は緑で示されています。シャクティの星々は、天の川銀河の中心から少し離れたところを周回し、シヴァの星々より円形の軌道を描いています。Image Credit: S. Payne-Wardenaar / K. Malhan / MPIA
シャクティの星々はピンク、シヴァの星々は緑で示されています。シャクティの星々は、天の川銀河の中心から少し離れたところを周回し、シヴァの星々より円形の軌道を描いています。Image Credit: S. Payne-Wardenaar / K. Malhan / MPIA

「シャクティ」「シヴァ」と名付けられたそれらの名残りの星々は、120億〜130億年前に初期の天の川銀河と合体した2つの銀河の残骸だと見られています。それぞれ、太陽の約1000万個分の質量があり、似たような組成の星々が非常によく似た軌道を運動しています。

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星々の運動や組成をもとに発見

銀河どうしが衝突して星の集団が混ざり合うとき、ほとんどの星は、元の銀河の速度や方向に関する基本的な性質を保持しています。星々の運動のしかたが似ているのです。

また最近形成された星には、古い星と比べて重い元素(天文学では「金属」と呼ばれます)が多く含まれています。金属が少ないほど、早い時期に生まれた星ということがわかります。

マックスプランク天文学研究所のKhyati Malhan氏らの研究チームは、SDSSによる星のスペクトルのデータを、ガイア衛星のデータと組み合わせました。ガイア衛星のデータからは星の位置や運動などを知ることができます。一方、スペクトルからは星の化学組成を知ることができます。星の運動の仕方と組成(金属の量)を組み合わせることでシャクティやシヴァを発見、それらが非常に古い残骸であることを見出しました。

こちらの映像は天の川銀河の誕生と進化を示したシミュレーションです。宇宙の誕生(137億年前)から30億年前までが映像化されています。Credit: Vintergatan – Renaud, Agertz et al. (2021)

(参照)Max Planck Institute for AstronomyESA