オリオン座の赤色超巨星ベテルギウスでは、2019年末から2020年初めにかけて非常に暗くなる「大減光」が発生しました。この画像は、大減光の前後にベテルギウスを撮影したものです。
ベテルギウスをとらえたこれらの画像は、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLTI(超大型望遠鏡干渉計)に搭載された赤外線観測装置MATISSEを使って取得されたものです。左から大減光の前(2018年12月)、大減光時(2020年2月)、大減光の後(2020年12月)の順に並んでいます。上段はベテルギウスの表面(光球)で、下段の画像には塵粒子のもとになる一酸化ケイ素が映っています。
上段中央の大減光中の画像では、大減光の前後と比べてベテルギウスが明るく見えています。ベテルギウスの大減光は、塵によって遮られることで暗く見えたと考えられています。可視光では星からの光が遮られて暗く見えましたが、赤外線では塵が輝くため明るく見えているのです。また、表面と一酸化ケイ素での構造の変化は、星の表面の低温領域の形成と塵の雲の噴出の両方と一致しています。
VLTIは、ESOのVLT(超大型望遠鏡)と可動式補助望遠鏡(AT)を組み合わせて、より大きな仮想的な望遠鏡として機能します。それによってベテルギウスの詳細がとらえられました。
画像は、ESO(ヨーロッパ南天天文台)の「今週の1枚(Picture of the Week)」として2023年10月23日に公開されたものです。
Image Credit: ESO/J. Drevon et al.
(参考記事)「ベテルギウスの減光は塵の雲が原因だった」「ベテルギウスは太陽のCMEの4000億倍もの質量を光球から放出していた!」
(参照)ESO