ハワイ、マウナケア山頂にあるケック望遠鏡により、太陽系外惑星うさぎ座AF星b(AF Lep b)が直接撮像され発見されました。この系外惑星は、地球から約87.5光年の距離にある、うさぎ座AF星を周回する惑星で、木星の約3倍の質量があります。テキサス大学オースティン校のKyle Franson氏らによる論文は、Astrophysical Journal Letters.に6月22日付で掲載されました。
今回の発見は、アストロメトリ(位置天文学)と直接撮像を組み合わせた手法によるものです。同様の手法で発見された系外惑星としては、すばる望遠鏡による「HIP 99770 b」の例をアストロピクスで紹介したことがあります。(参考記事)すばる望遠鏡、新手法で太陽系外惑星を直接撮像
惑星が周回していると、恒星の位置がわずかにふらつきます。研究チームは、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)の位置天文衛星ガイアやヒッパルコスのデータから、うさぎ座AF星のふらつきが惑星を持っているためである可能性があると特定しました。その後、ケック望遠鏡による観測を行い、直接撮像に成功したのです。
今回の手法の利点
これまで発見されてきた系外惑星のほとんどは、惑星が手前を通過した際の恒星の明るさの変化をとらえるトランジット法や、惑星に引っ張られることによる恒星のスペクトルの変化をとらえるドップラー法(視線速度法)などの方法で発見されてきました。これらは、恒星の近くを公転する大きな惑星を発見しやすい方法です。またどちらも惑星を直接見るわけではなく、惑星が恒星に与える影響を調べる間接的なものです。
アストロメトリと直接撮像を組み合わせる手法は、恒星から遠かったり、質量が小さかったり、惑星の軌道面が地球に対して横から見えていなかったりしたため、トランジット法やドップラー法では見つけにくかった系外惑星を発見するのに役立つ可能性があります。また惑星の質量を直接測定できることも利点の1つです。
研究チームは、うさぎ座AF星bの物理的特性と大気を調査するため、追跡調査を行う予定とのことです。