重力レンズによって4つに分裂して見えた遠方の超新星をとらえた

SN Zwickyの画像。背景はZTF、左上はESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(超大型望遠鏡)、右上はケック望遠鏡がとらえた画像です。ケック望遠鏡の画像では、レンズ銀河(Lens galaxy)のまわりにSN Zwickyが4つに分かれて見えています。Credit: J. Johansson
SN Zwickyの画像。背景はZTF、左上はESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(超大型望遠鏡)、右上はケック望遠鏡がとらえた画像です。ケック望遠鏡の画像では、レンズ銀河(Lens galaxy)のまわりにSN Zwickyが4つに分かれて見えています。Credit: J. Johansson

重力レンズ効果によって4つの像に分かれて見える、遠方銀河で発生した超新星が発見されました。

銀河や銀河団など質量の大きな天体の重力によって、より遠方にある天体からの光が曲がったり明るくなったりする現象は「重力レンズ」と呼ばれます。重力レンズによって、奥にある天体の像が歪んで見えたり、複数に分かれて見えたりすることもあります。今回発見された「SN Zwicky(SN 2022qmx)」と呼ばれる超新星は、40億光年以上離れたところで発生した超新星が、手前にある銀河の重力レンズによって拡大され、また4つに分かれて見えていました。

超新星は一時的な現象のため、SN Zwickyのような現象の発見は非常に困難です。実際、重力レンズによってクエーサーが複数の像に見える例は何個も見つかっていますが、超新星についてはわずかな例しか見つかっていません。

SN Zwickyはまず、アメリカ、パロマー山天文台のZTF(Zwicky Transient Facility)で発見されました。ZTFは、超新星やガンマ線バーストなど急激に明るさが変化する突発天体現象をサーベイするプロジェクトです。その後、ケック望遠鏡やVLT(超大型望遠鏡)、ハッブル宇宙望遠鏡などによる追跡観測が行われました。

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SN Zwickyは「Ia型」超新星

超新星にはいくつかのタイプがありますが、SN Zwickyは「Ia型」と呼ばれるタイプの超新星です。Ia型超新星は、白色矮星を含む連星系で白色矮星に伴星のガスが降り積もったり、白色矮星どうしが合体したりして、白色矮星の質量がある限界を超えたときに発生すると考えられています。Ia型超新星は、明るさの最大値がどれも一定であることから、最も明るいときの絶対等級を求めて見かけの明るさと比べることで天体までの距離を測定できます。

SN Zwickyは、宇宙の距離の指標として役立つだけでなく、ダークマター(暗黒物質)やダークエネルギー(暗黒エネルギー)を調べて、宇宙膨張を記述する現在のモデルを改良するためのツールとなる可能性があると、研究チームは期待しています。

(参照)W.M.Keck ObservatoryUniversity of Maryland