木星表面で起きる数年周期の謎の変動の原因を解明

赤外線でとらえられた、木星大気の変動。画像は地上の赤外線望遠鏡から5μmの波長で撮影されたものです。2001年5月(右)と2011年12月(左)とで青の破線の間の領域が変化しているのがわかります。研究は、神戸大学大学院の堀久美子氏、イギリス、リーズ大学のChris Jones氏、レスター大学のLeigh N. Fletcher氏らの研究チームによるものです。Image Credit: Arrate Antuñano/NASA/IRTF/NSFCam/SpeX
赤外線でとらえられた、木星大気の変動。画像は地上の赤外線望遠鏡から5μmの波長で撮影されたものです。2001年5月(右)と2011年12月(左)とで青の破線の間の領域が変化しているのがわかります。研究は、神戸大学大学院の堀久美子氏、イギリス、リーズ大学のChris Jones氏、レスター大学のLeigh N. Fletcher氏らの研究チームによるものです。Image Credit: Arrate Antuñano/NASA/IRTF/NSFCam/SpeX

赤外線でとらえた木星の数十年間のデータから、南緯41度〜北緯33度の範囲で、4〜9年の周期で規則的な変動が起きていることが近年になって分かりました。しかし広い緯度にわたる数年の周期性を定量的に説明できる説はこれまでありませんでした。

研究チームは、木星がガス惑星であり地面が存在しないことに注目しました。木星探査機ジュノーによる磁場観測の結果や、深部密度の理論モデルなどから、「ねじれ振動」と呼ばれる磁気的な波の周期を算出。算出値は3〜8年となり、木星表面の周期性を誤差の範囲内で定量的に説明できることがわかりました。

さらにデータ科学的解析法を用いることで、木星大気観測の時空間データセットから、ねじれ振動の微小なシグナルをとらえることに成功しました。振動の特性を詳しく調べることで、直接観測できない深部の物理的状態を知ることができ、天体の磁場形成問題を解く手がかりとなる可能性があるとのことです。【1分で読む宇宙ニュース】

(参照)神戸大学University of Leeds