かつてない宇宙最大の爆発現象が観測された

超巨大ブラックホールの想像図。Image credit: NASA/JPL-Caltech
超巨大ブラックホールの想像図。Image credit: NASA/JPL-Caltech

イギリス、サウサンプトン大学などの研究チームは、これまで観測された中で宇宙最大の爆発を発見したと発表しました。

「AT2021lwx」として知られるこの爆発現象は、超新星爆発より10倍以上明るいとのことです。また超新星が明るく見えるのは数か月程度なのに対して、AT2021lwxは現在まで3年以上も明るいままの状態が継続しています。地球から約80億光年はなれたところで発生しました。

2022年、記録上最も明るいガンマ線バースト「GRB 221009A」が観測されました。AT2021lwxよりそのガンマ線バーストのほうが明るかったのですが、GRB 221009Aの継続時間は短く、AT2021lwxによって放出されたエネルギーの方がはるかに大きいとのことです。

スポンサーリンク

2020年に発見された

AT2021lwxは、超新星やガンマ線バーストなど急激に明るさが変化する現象をサーベイするZTF(Zwicky Transient Facility)によって2020年に発見されました。その後、危険な小惑星を探索するためのロボット望遠鏡システムATLASでもとらえられました。

研究チームはその後、NASA(アメリカ航空宇宙局)のスウィフト衛星(ニール・ゲーレルズ スウィフト天文台)や南米チリにあるESO(ヨーロッパ南天天文台)のNTT(新技術望遠鏡)などでAT2021lwxを調査しました。スペクトルの分析から距離が判明し、距離と見かけの明るさから本来の明るさが計算されました。その結果、極端に明るいことがわかったのです。

その明るさは、超巨大ブラックホールにガスが落ち込んでいくときに明るく輝くクエーサーに匹敵していました。しかし、それほどの明るさの天体が突然出現するのは、これまで観測された例のない前代未聞のことでした。

スポンサーリンク

爆発の原因は?

爆発の原因について研究チームは、太陽の数千倍もの質量の巨大なガス雲が、超巨大ブラックホールのまわりの軌道から外れて落ち込んできたためだと考えるのが最も妥当ではないかと考えているとのことです。

研究チームは現在、温度などを知ることができるX線を含め、さまざまな波長でさらなるデータの収集を進めようとしています。またシミュレーションを行い、爆発の原因に関する理論と一致するかどうかを検証する予定とのことです。

(参照)University of Southampton