この画像はハッブル宇宙望遠鏡が撮影したもので、おうし座の方向、9000光年以上の距離にある若い星を取り囲むガスと塵の雲がとらえられています。2022年9月19日に、ハッブル宇宙望遠鏡の「今週の1枚(Picture of the Week)」としてリリースされました。
IRAS 05506+2414と呼ばれるこの若い星は、若い大質量星系の崩壊によって引き起こされた爆発現象の一例だと考えられています。このような天体は、IRAS 05506+2414のほかには一例しか知られていません。
通常、若い星の周囲の円盤には、南北両極方向へのアウトフロー(双極分子流)が見られます。しかしIRAS 05506+2414では、ガスの塊が毎秒最大350kmの速度で、外側に向かって扇状に広がっています(この画像では、中央の明るい星の近傍にかすかに見られます)。
ハッブル宇宙望遠鏡のWFC3(広視野カメラ3)を使った観測から、IRAS 05506+2414までの距離が測定されました。時間をおいて観測してガスの塊の移動距離(固有運動)を測定することで、IRAS 05506+2414までの距離を推定したのです。それにより星がどれだけ明るく、またどれだけのエネルギーを放出しているかがわかり、質量を推定することが可能になります。それらの値は、この若い星からの通常ならざる流出現象の起源を探るために重要な情報となります。
Image Credit: ESA/Hubble & NASA, R. Sahai
(参照)ESA/Hubble