2つの銀河が合体して形成された無秩序な形の銀河NGC 7727

この画像には、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(超大型望遠鏡)がとらえた銀河NGC 7727が映っています。NGC 7727は2つの銀河が合体してできた銀河です。その合体はおよそ10億年前に始まったとみられています。NGC 7727は、みずがめ座の方向、約8900万光年の距離にあります。

銀河の衝突・合体は非常に激しい現象ですが、一般的に銀河に属する星どうしが衝突するようなことはありません。ただ互いの重力によって潮汐力が生じ、2つの銀河の外観は大きく変形します。星やガス、塵からなる「尾」が銀河の周囲で回転し、最終的に合体した結果、NGC 7727にみられるような非対称で無秩序な形になります。

画像はVLTに設置された「FORS2」という装置で撮影されたもので、2022年8月にESOから公開されました。NGC 7727は以前、ESOの別の望遠鏡で撮影されたことがあります。その画像と比べて、銀河本体や「尾」の詳細が映し出されています。

この画像では、銀河中心にある2つの明るい点が見えています。これは元の2つの銀河の中心で、そこにはどちらも超大質量ブラックホールが存在しています。これらは地球から最も近い超大質量ブラックホールのペアです。(参考記事:観測史上最も近くで発見された超巨大ブラックホールのペア

それら2つのブラックホールは、わずか1600光年しか離れておらず、2億5000万年以内に合体し、さらに巨大な1つのブラックホールになると予想されています。

私たちの天の川銀河は、数十億年後にはアンドロメダ銀河と合体するとみられています。天の川銀河とアンドロメダ銀河の未来の姿も、NGC 7727のようになるのかもしれません。

Image Credit: ESO

(参照)ESO