この画像は、おとめ座銀河団に属する最大の銀河の一つである渦巻銀河M61(NGC 4303)をとらえたものです。ただ私たちがよく目にする、星々が輝く銀河の画像とは雰囲気が違います。画像には星の光ではなく主にガス雲が映っているのです。画像は、ESO(ヨーロッパ南天天文台)が2022年8月1日に「今週の1枚(Picture of the Week)」として公開しました。
M61は、いわゆる「スターバースト銀河」で、爆発的に星形成が進んでいます。星は低温のガスが重力で崩壊して形成されます。新しく生まれた星々からの強烈な放射は、周囲に残っているガスを電離して輝かせます。この画像では、そのような星が誕生した痕跡であるガスが映し出されています。
この画像は、南米チリにあるESOのVLT(超大型望遠鏡)に取り付けられた超広視野面分光装置MUSEを使って撮影されました。複数の波長で観測した結果を組み合わせています。電離した酸素、水素、硫黄のガス雲が、それぞれ青、緑、赤に割り当てられて合成されています。なおアストロピクスでは、同じくVLTを使って可視光と赤外線で撮影されたM61の画像を紹介したことがあります。その画像についてはこちらをご覧ください。
画像は「PHANGS(Physics at High Angular resolution in Nearby GalaxieS:近傍銀河の高解像度観測による物理学研究)」というプロジェクトの一環で撮影されたものです。PHANGSでは、さまざまな波長の望遠鏡を用いて近傍銀河を高解像度で観測し、銀河での星形成に関する研究を進めています。
Image Credit: ESO/PHANGS
(参照)ESO