初飛行からほどなく1年を迎えようとしているNASA(アメリカ航空宇宙局)の火星ヘリコプター、インジェニュイティの運用が今年9月まで延長されることになりました。
インジェニュイティはこれまで21回の飛行に成功しています。この画像は20回目の飛行の際、2022年2月25日にインジェニュイティから撮影された空撮画像です。映っているのは「セイタ」と呼ばれる領域で、画面下の方にはインジェニュイティの影も見えています。
探査車パーサヴィアランスは今後、ジェゼロ・クレーターのデルタ地帯の観測へと向かいます。インジェニュイティは、そのパーサヴィアランスが進む候補となるルートを偵察するなど、今後の観測を支援することになります。
ソフトウエアのアップデートも行われました。アップデートによって飛行や着陸の安全性を高めたほか、これまで最大高度15mだった制限を外したり、飛行中に速度を変更することができるようになったりしました。また飛行中の地形の変化によりよく対応できるようにもなりました。
インジェニュイティの次回の飛行は3月19日以降に予定されています。次回の飛行は距離が約350m、大きな丘を避けるために旧カーブすることも含まれています。
2021年4月19日、インジェニュイティは39.1秒の初飛行を行いました。5回目までは試験飛行、それ以降は運用実証飛行が行われてきました。NASA・JPL(ジェット推進研究所)のチーフパイロットHåvard Grip氏は「3回飛べればラッキー、5回飛べればとても幸運だと思っていた」そうです。21回目の飛行を終え、飛行時間は38分以上、移動距離は4.62kmを記録しています。運用が2年目に入れば、さらなる記録が打ち立てられることになります。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech