この画像は火星探査機トレース・ガス・オービター(TGO)が、火星の「ノクティス・ラビリントス(「夜の迷宮」という意)」と呼ばれる地域の最東端の一部をとらえたもので、画像中央に崖が映っています。ノクティス・ラビリントスは、火星の赤道付近にあるマリネリス峡谷の西にある迷路状の地形です。画像は2020年8月3日に撮影され、2022年1月14日にESA(ヨーロッパ宇宙機関)から公開されました。
画像中央に崖のような地形が映っています。これはホルスト・グラーベン(地塁・地溝)構造の一部です。火星表面が水平方向に引っ張られる地殻変動の結果できた溝(グラーベン)と、その両側にある隆起した尾根や台地(ホルスト)から構成されています。ノクティス・ラビリントスを作る台地と溝のネットワークは全体で1200kmほどに及び、それぞれの崖は高さ5kmに達しています。
画像右の方には、風によって形成された砂紋のほか、いくつかの小さなクレーターも見られます。
中央付近をよく見ると、崖から落ちた岩が転がり落ちる際に残したくぼみがあります。
TGOは、ESAとロシア・ロスコスモスが共同で進めるエクソマーズ計画で打ち上げられた探査機です。2016年3月14に打ち上げられ、同年10月に火星の周回軌道に入りました。
Image Credit: ESA/Roscosmos/CaSSIS, CC BY-SA 3.0 IGO
(参照)ESA