これらの画像には、初期の宇宙にあった銀河が映っています。そのうちREBELS-12-2とREBELS-29-2は、銀河の星々が塵に埋もれてハッブル宇宙望遠鏡などでは観測できない「隠れ銀河」です。REBELS-12-2は、塵に埋もれた銀河としては観測史上最も古い銀河であることが分かりました。
画像は、アルマ望遠鏡がとらえた電離炭素原子からの放射(緑)と塵からの放射(オレンジ)、VISTA望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡がとらえた近赤外線(青)を重ね合わせたものです。REBELS-12とREBELS-29という2つの銀河では、電離炭素原子や塵からの放射、そして近赤外線も検出されています。一方、REBELS-12-2とREBELS-29-2では、近赤外線が検出されていません。
ハッブルがとらえた初期宇宙の銀河からの近赤外線は、それらの銀河の星が放つ紫外線が、宇宙膨張に伴って波長が伸びて地球に届いたものです。銀河内に大量の塵があると、星が放った紫外線は塵に吸収・散乱されてしまい観測できなくなります。
画像に映るREBELS-12-2とREBELS-29-2では、電離炭素原子や塵からの放射は検出されましたが、近赤外線は検出されませんでした。このことは、それらの放射が塵に埋もれた銀河からやってきたことを示しています。またREBELS-12-2は、塵に埋もれた銀河の中では観測史上最古の131億年前のものであることが分かりました。
初期の宇宙でそのような塵に埋もれた銀河はこれまでにも見つかっていましたが、天の川銀河の1000倍以上の激しいペースで星形成を行なっている稀な銀河に限られていました。今回発見された銀河では、そのような爆発的な星形成はなく、130億年ほど前の宇宙で見つかっていた典型的な銀河と似たような星形成を行なっていました。これは、同じように塵に埋もれて発見されていない銀河が多数あることを示唆しています。宇宙初期での銀河形成の理論に大きく影響する可能性があります。
Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), NASA/ESA Hubble Space Telescope, ESO, Fudamoto et al.
(参照)アルマ望遠鏡