月探査機SLIM、電力回復後に分光観測に成功

小型月着陸実証機SLIMが、搭載しているマルチバンド分光カメラ(MBC)による月面の岩石の観測を完了したとJAXA宇宙科学研究所が2024年2月1日に発表しました。

SLIMは1月20日の着陸後、太陽電池による電力を得られず一時休眠状態でしたが、日が射す方向が変わったことで太陽電池パネルに太陽光が当たるようになり復活。1月29日に運用を再開していました。(参考記事)【速報】月探査機SLIMが復活!

MBCは750〜1650ナノメートルの波長帯を10バンドで観測するカメラですが、10バンドの分光観測を順調に終えることができたとのことです。当初期待していたより多くの対象を観測できたとしています。

冒頭の画像は発表にあわせて公開された画像です。左は着陸後、電源が切られるまでの間にMBCで撮影されたもので、右は電力が回復した後に撮影されたものです。いずれも小さな画像を多数撮影してモザイク合成されています。着陸直後と電力回復後では太陽光が射す方向が東から西に変わったため、影の落ちる方向が異なっています。

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観測対象は着陸直後の選定候補から変更・追加

こちらの画像で、犬種の名前が付けられているのは、10バンド詳細観測を行った岩石です。なお名前は相対的な大きさがイメージできるように付けられた愛称です。日照条件が異なるため、着陸直後に詳細観測の候補とされていた岩石からは一部変更、追加されました。

こちらは詳細観測された「あきたいぬ(波長1.65マイクロメートル)」。「あきたいぬ」の大きさは幅63cmで、SLIMから「あきたいぬ」までの距離は18m。MBCにはオートフォーカス機能があり、フォーカスを合わせることで距離を測定でき、その距離から岩石の大きさを計算できるとのことです。

観測から多くのデータが得られており、今後解析が進められます。

なおSLIMの着陸地点では1月31日に日没を迎え、SLIMは再び休眠状態に入りました。(参考記事)月探査機SLIM、日没直前の月面を撮影

(参考記事)探査機SLIM、ピンポイント着陸に成功! 月面での撮影画像も公開

Image Credit: JAXA、立命館大学、会津大学

(参照)JAXA宇宙科学研究所