重力レンズで5つに分かれた遠方のクエーサー | アストロピクス

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重力レンズで5つに分かれた遠方のクエーサー

ハッブル宇宙望遠鏡がとらえたこの画像の中央には、ぼんやりと光る天体の周囲を光のリングが囲んでいます。よく見るとぼんやりとした光は2つ、周囲のリングには光の点が4つあることが分かります。実際には、ぼんやりとした2つの光は2個の銀河、そしてまわりを取り囲む4つの点は、1個のクエーサーが分かれて見えているものです。ハッブル宇宙望遠鏡のデータは、中心に7つ目の暗い光の点があることを示しています。この光の点はクエーサーの5番目の像です。

2つの銀河を取り囲む4つの光の点と、もう1つの暗い光の点は、「2M1310-1714」として知られる遠方の1つのクエーサーの像が分かれて見えているものです。これは「重力レンズ」と呼ばれる現象によって生じています。重力レンズとは、銀河のような大きな質量を持つ天体のまわりでは空間が歪むため、光が曲がる現象です。奥にある天体の像が拡大されたり、複数に分かれて見えたりします。この画像では、手前の2つの銀河の重力レンズによって、遠方のクエーサー2M1310-1714の像が歪められたことで、このように見えているのです。

画像は2021年8月9日にリリースされたハッブル宇宙望遠鏡の「今週の1枚(Picture of the Week)」です。

Image Credit: ESA/Hubble & NASA, T. Treu
Acknowledgment: J. Schmidt

(参照)ESA/Hubble