明るい星の背後から現れた「いないいないばあ」銀河 ハッブル望遠鏡が撮影 | アストロピクス

明るい星の背後から現れた「いないいないばあ」銀河 ハッブル望遠鏡が撮影

この画像はハッブル宇宙望遠鏡が撮影したものです。画像中央に明るく輝く星が目立っていますが、この画像の主役はその星ではなく、星の右側にぼんやりとみえている矮小銀河「HIPASS J1131–31」です。

HIPASS J1131–31は、過去50〜100年の間に、前景にある動きの速い星の背後から姿を現しました。そのことからこの銀河には、「Peekaboo(いないいないばあ)」という愛称が付けられています。

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金属量がきわめて乏しい

HIPASS J1131–31は、さしわたし1200光年ほどの小さな銀河で、うみへび座の方向、約2200万光年の距離にあります。金属量がきわめて乏しい「extremely metal-poor(XMP)」と呼ばれる銀河です。なお天文学では、水素やヘリウムより重い元素のことを「金属」と呼びます。

ビッグバン直後の宇宙は、ほぼ水素とヘリウムで構成されており、より重い元素は、その後の宇宙の歴史の中で恒星によって作られてきました。つまり宇宙の最初期に存在した銀河はXMPであり、金属量が少ないHIPASS J1131–31はそのような宇宙初期の銀河に似ているのです。

またHIPASS J1131–31には年齢の高い星が少なく、局所宇宙で知られている中で最も若い銀河の1つです。これまで知られていたXMP銀河と比べてかなり近距離にあることからも天文学者の注目を集めています。

こちらはHIPASS J1131–31周辺を切り抜いたものです。

Credits:
SCIENCE: NASA, ESA, Igor Karachentsev (SAO RAS)
IMAGE PROCESSING: Alyssa Pagan (STScI)

(参照)Hubblesite