2万年に1度やってくる“青い彗星”

ESO(ヨーロッパ南天天文台)の「今週の1枚(Picture of the Week)」は、彗星C/2016 R2(パンスターズ)をとらえた画像です。ESOのパラナル天文台に設置されたスペキュラース南天観測所(SSO)で、2018年1月18日に撮影されました。撮影時、彗星は太陽に近づきつつあり、太陽から2.85AU(1AUはほぼ太陽~地球間の距離)の距離にいました。

彗星の本体(「核」と呼ばれます)は、氷や塵でできています。太陽に近づくと、氷が昇華して核のまわりに「コマ(彗星の大気)」ができます。また核から放出された塵が尾をたなびかせます。

C/2016 R2(パンスターズ)のコマからは、一酸化炭素と窒素イオンが検出されました。これらの物質は青い輝線を放出します。そのためC/2016 R2(パンスターズ)は「青い彗星」とも呼ばれます。C/2016 R2(パンスターズ)は、2万年かけて太陽を1周します。2018年5月に太陽に最接近しましたが、次に太陽に近づくのは2万年後ということになります。

なおスペキュラース(SPECULOOS:Search for habitable Planets EClipsing ULtra-cOOl Stars)とは、褐色矮星などの周囲にある地球サイズの系外惑星を探索することを主な目的としたプロジェクトです。SSOは口径1mの主鏡を備えた4つの望遠鏡で構成されており、それぞれの望遠鏡には木星のガリレオ衛星にちなんでイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストと名付けられています。上の画像は、そのうちカリスト望遠鏡で撮影されたものです。

Image Credit: ESO/SPECULOOS Team/E. Jehin

https://www.eso.org/public/images/potw1940a/