楕円銀河NGC 541とその中心からのジェットにより星形成が進む矮小銀河をハッブル望遠鏡が撮影 | アストロピクス

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楕円銀河NGC 541とその中心からのジェットにより星形成が進む矮小銀河をハッブル望遠鏡が撮影

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したこの画像で、最も大きく映り目立っているのは楕円銀河NGC 541です。このような楕円銀河は、銀河どうしの衝突・合体によって形成されると見られています。NGC 541の左下には、青みがかった矮小不規則銀河が映っています。この矮小不規則銀河は「Minkowski’s Object(ミンコフスキーの天体)」として知られるもので、星形成が進行中です。

可視光では見えませんが、NGC 541の中心からはジェットが噴き出していることが電波望遠鏡で観測されています。ジェットは銀河中心の超巨大ブラックホールから噴き出しています。ミンコフスキーの天体はNGC 541から噴き出す電波ジェットの先にあり、電波ジェットが星形成を促しているとみられます。

NGC 541のような電波銀河は、銀河の衝突・合体の際に生じたガスのハローや残骸に取り囲まれています。ジェットが銀河のまわりのガスに突入し、衝撃によって励起状態になったガスが低エネルギー状態に戻るとき、放射の形でガス雲からエネルギーが放出されて低温になります。ガス雲が冷えると崩壊して星が誕生するのです。画像に映る青みを帯びた矮小不規則銀河は約750万年前に誕生し、約2000万個の星から構成されています。

画像はNASA(アメリカ航空宇宙局)のウェブページで2022年5月23日に紹介されました。

Image Credit: NASA, ESA, and S. Croft (Eureka Scientific Inc.); Image Processing: Gladys Kober (NASA Goddard/Catholic University of America)

(参照)NASA