この画像は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の木星探査機ジュノーが、2021年7月20日に赤外線で撮影した木星の衛星ガニメデです。JIRAM(赤外線オーロラマッピング装置)という観測装置で撮影されました。
ジュノー探査機は2021年6月にはガニメデ表面から1038kmまで接近しました(参考記事:ガニメデと木星のフライバイを探査機目線で再現した動画が公開された)。今回7月のフライバイでは、ジュノー探査機はガニメデに5万109kmまで接近しました。また今回のフライバイでは、これまで観測された部分以外の領域が撮影されたことで、ガニメデの低緯度と高緯度での組成の多様性を比べることもできました。(参考記事:ジュノーが赤外線で初めてとらえた衛星ガニメデの北極)
ガニメデは衛星としては太陽系で唯一、固有磁場を持っています。地球では太陽からのプラズマ(荷電粒子)が大気中でオーロラを発生させます。一方、大気のないガニメデでは極地の表面に降り注いでおり、ガニメデの氷にも大きな影響を与えています。
ジュノーの共同研究者であるイタリア国立天体物理研究所(INAF)のAlessandro Mura氏によれば、ガニメデの高緯度地域では荷電粒子の激しい衝突により細かいサイズの水の氷が多く存在している一方、低緯度地域は衛星の磁場に守られているため、衛星本来の化学組成、特に塩や有機物のような水の氷ではない成分が多く含まれているとのことです。
ジュノー探査機は2011年8月に打ち上げられて以来、10年が経過しました。2016年7月に木星に到着してからも5年以上が経過しています。ジュノー探査機のミッションは2025年9月まで延長されており、木星の北極のサイクロンへの接近、エウロパやイオなどの衛星へのフライバイのほか、木星を取り囲む微かなリングの探査なども行う予定です。
Image Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/ASI/INAF/JIRAM
(参照)NASA