16年の時を経て、謎の「青いリング星雲」の正体がようやく判明!?

青いリング星雲。ヘルクレス座の方向、6300光年の距離にあります。Credit: NASA/JPL-Caltech/M. Seibert (Carnegie Institution for Science)/K. Hoadley (Caltech)/GALEX Team

2004年、NASA(アメリカ航空宇宙局)のGALEX衛星によって、それまで観測されたことのない天体が発見されました。研究チームが「青いリング星雲」という愛称を付けたその天体の正体が、16年の時を経て明らかになったようです。これまで得られた多くの望遠鏡のデータに理論モデルを適用することで、青いリング星雲は二つの星が合体して一つの星になった際に放出されたガスからなる可能性が高いとGALEXの研究チームでは考えています。

星の合体は一般的だと考えられています。ただ合体直後は、衝突によって放出された破片によって星がみえなくなります。また少なくとも数十万年ほどで破片がなくなった後では、合体によってできた星なのかどうか区別できなくなります。青いリング星雲は、その間の段階にある天体で、ミッシングリンクを埋めるものかもしれません。

2006年にはアメリカ、パロマー天文台のヘール望遠鏡、ハワイのケック望遠鏡による観測から、星雲内に衝撃波が発生していることが分かり、青いリング星雲を構成するガスが、中心星のまわりでおきた何かしらの激しい現象によって放出されたことが示唆されました。またケック望遠鏡のデータは、星が大量の物質を表面に引き付けていることも示唆していました。

研究チームの一人であるMark Seibert氏はしばらくの間、中心星が見えていない惑星を引き裂いているのではないかと考えていたとのことです。しかし2017年にはテキサス州にあるホビー・エバリー望遠鏡での観測から、星を周回する小さな天体がないことが確認されました。それに先立つ2012年にはNASAのWISE衛星の赤外線データから、星のまわりにある塵の円盤が確認されました。しかし発見から10年以上が過ぎても、青いリング星雲がどうやって形成されたのか、まだ分かっていませんでした。

その後、研究チームは宇宙での天体の衝突現象を研究する理論天文学者Brian Metzger氏に協力を依頼。観測データに理論モデルを適用することで、青いリング星雲の正体に迫ることができたのです。

二つの円錐が重なったところが“青いリング星雲”として見えている。Credit: Mark Seibert

研究チームによると青いリング星雲は、太陽に似た星と、その10分の1のサイズの別の星とが合体してできたものだとのことです。太陽のような星が年老いて膨らんで赤色巨星となり、伴星にゆっくりと近づきます。やがて小さな星は大きな星に向かって渦を巻くように落ちていきました。その途中で大きな星は小さな星を引き裂いて破片のガスのリングの中に包み込み、小さな星を丸ごと飲み込んでしまったのです。

このような激しい合体によって高温のガス雲が外側へ放出され、二つの円錐形の星雲が形成されました。二つの円錐の雲は、地球から見て星の手前側と奥側に広がっています。それらの円錐の雲は一つ一つを単独でみるには暗過ぎますが、二つの円錐が重なった領域が青いリングに見えているのです。ガスが冷えて水素分子を形成し、それが星間物質と衝突して励起されて遠紫外線を放射しています。

(参照)NASACaltech

アストロピクスではTwitterやFacebookでも更新情報をお届けしています